再びやいのやいのと始まった“宿題はいつやるべきか”論争に


「あ、あの……!」


柚花の、か細いがはっきりした声が割って入った。

途端にシーンとして黙り込んだ三人に、柚花がハッとし真っ赤になって俯く。


「あ、あの……えっと」


俯いてぽそぽそと喋る柚花に、高知が柔らかな笑みを浮かべて問いかける。


「なあに?ゆずちゃん。何でも遠慮なく言ってよ」


相変わらず、柚花の前でいいお兄さんっぷりを発揮しようとしている高知を、宮崎は何とも言えない目で眺める。

きっと今日だけで既に、高知が思い描いている優しくてスマートなお兄さんというイメージは、柚花の中で崩れ去っていると思われるが。

それでも頑張る高知を、哀れみのこもった眼差しで見つめていると、柚花がパッと顔を上げてその場にいる全員を見渡し、意を決したように口を開いた。


「う、海に……行きませんか!」