「ほんとの事を言うと、実は今日のメインイベントはこっちだったりする」
思わぬ女子二人の脅かしから立ち直った高知は、三人を引き連れて更に境内の奥へと進んでいた。
明かりは、高知の背中で輝きを放つ鳥と、先頭と最後尾で一つずつ手にした懐中電灯だけ。
「先輩、どこまで行くんですか。てか、まもなく十時になりますけど、柚花ちゃんはいいんですか?」
「うん、大丈夫。おばさんには、責任もってお送りしますって伝えたから」
使われなくなってから一体どれくらい経ったのか、丈の高い草が生え放題の道なき道を、高知は草を踏みしめ踏みしめ進んでいく。
先行する高知の背中で、Tシャツにプリントされた鳥が淡く発光しているおかげで、その姿を見失うことはないが、唐突に起き上がってくる草に足を取られながら歩くのにも、いい加減疲れてきた頃だった。
「よっし、到着!あっちょっと待って、みんないる?誰かはぐれてないよね」
「先輩が発光してたから大丈夫です」
「宮崎さんが気にかけてくれたから……。あと、高知さんが光ってたのがちらちら見えてたから、大丈夫です」
「宮崎が振り返るたびに、高知先輩の光が見えてたから大丈夫です」
「うん、さすがオレの鳥!」



