今年の夏もキミを想う…。


その感心してしまうほどの切り替えように、宮崎もまた、何事もなかったかのようにため息をついてみせた。


「さてと!じゃあ男同士の恋バナはこのくらいにして、そろそろ行きますか。二人が上で待ってるし。ひょっとしたら、お化けも一緒に待ってるかもしれないし」


楽しそうに笑ってまた歩き出す高知に、宮崎も止めていた足を動かす。


「男同士の恋バナって、気持ち悪いので二度と言わないでください。あと、お化けが出るには時間が早すぎます」

「ええー、お化けに時間なんて関係ないでしょ。あの人たちは、気分で出てくるんだから」

「……友達かなんかですか」


駆け足で残りの階段をのぼり終えた高知が、鳥居の前で足を止め宮崎を待つ。

隣に並ぶのは何だか気持ち悪いので、宮崎は少しだけ後ろに立った。

高知が似合わない真剣さを発揮したあの瞬間から、妙に胸が苦しかった。

けれど、彼女の顔を思い浮かべた瞬間は、ほわんと胸が温かくなった。

苦しくて、苦しくて、でも時折温かくて、やっぱりどうしようもなく切なくなって……宮崎は、ぐるぐると体中をめぐる相反する気持ちを抱えて、鈴に向かって駆け出した高知の背中を見送る。