「でもきっと、あの子はオレを選んでくれない。……わかるんだよ。……ずっと……ずっと、好きだったから」
高知が、星空を見上げた。
まるで、こぼれ落ちそうな涙を押しとどめるように、勢いよく上を向いた。
高知の気持ちは、宮崎にだってわかりすぎる程によくわかる。
何より好きだと言える気持ちも、誰より幸せにすると言い切ってしまえる自信も。
それでも、決して選んではもらえない虚しさも……。
宮崎もまた、空を見上げた。
見上げた空に、最後に見た彼女の顔を思い浮かべた。
「でもさ、例え今は選んでもらえなくても、未来ではどうなってるかわからないよね」
視線を下げてみれば、ニッと得意げに笑う高知がいた。
「未来ってさ、いい言葉だよね。何か、“未来”ってつくだけで、いろんなものが無条件にキラキラして見えるよ」
「何ですか、それ」
先程までの真剣さも、泣きそうな雰囲気も、全てがなかったことのように、高知はいつも通りに笑っている。



