今年の夏もキミを想う…。



「上についたらさ、いいものがあるんだ」


ぽそりと呟いた高知は、意味が分からずに首を傾げる宮崎を置いて、ルンルンとまるでスキップでもするように、器用に階段をのぼっていく。


「あんまり先に行かないでくださいよ。足元が全然見えないじゃないですか」


先程までいじけて道端に石を積んでいたのと同一人物とは思われないようなはしゃぎっぷりに、宮崎はため息を一つこぼしてついていく。

肝試し中だというのに、ついには楽しそうに鼻歌まで歌いだした高知が、突然階段の中程で足を止めた。

呆れた様子で後ろをついてきていた宮崎に、振り返った高知は笑顔で空を指差す。

何事かと視線をあげた宮崎の目に………満天の星が映った。

遮るものも、邪魔する光もない星空は、どこまでもどこまでも広がっていて、どこまでもどこまでも美しい。

彼女からも、この星空が見えているだろうかと、宮崎はふと思った。

あちらからは、どんなふうにこの星空が見えているのだろうと、ぼんやり考えていた宮崎の耳に


「ねえ、宮崎」


いつにない真剣なトーンの高知の声が聞こえた。