今年の夏もキミを想う…。



「…………あっ、先輩。ほら、鈴が鳴ってますよ。いつまでしょげてるんですか」


軽い調子で脅かしたつもりが、思わぬ和果子からの冷たい視線を浴びて、時間差でやって来た悲しみに、高知はすっかり意気消沈して道端に小石を積んでいた。


「じゃあ俺、先に行きますからね」

「えっ?あっ、ちょっと!」


声をかけても振り返りもしない高知を置き去りに、宮崎が階段に足を乗せると、高知が慌てて飛んできて隣に並んだ。


「先輩を置いていこうとするなんて、宮崎ってば冷たいやつ!」

「はいはい、すみませんでした。早く懐中電灯出してください」


淡々と流された事にかなり不満げな高知は、それでも素直に懐中電灯で二人の足元を照らす。


「先輩、これ、さっきのに比べてしょぼくありません?」

「電池が入ってるの、二つしかなかったんだからしょうがないでしょ。文句言わない」


先ほど和果子達が持っていったのに比べて、確実に一回りは丸が小さく、何だか光も弱々しい懐中電灯を頼りに、二人は階段をのぼっていく。