「た、例えば……の、話なんですけど。好きだけど、どうしても報われない恋を、自分がしてしまったとして。それって、諦めたほうがいいと、思いますか」
「………」
まるで自分の事を言われているようで、和果子は咄嗟に言葉が出てこなかった。
その瞬間、柚花の言葉が胸に刺さって、どうしようもなく痛かった。
「好き、なんです。でも好きだから、ずっと大好きだから、わかるんです。……きっとわたしの想いは、報われないって」
柚花は、昔に比べて格段に変わった。
メガネをやめてコンタクトにしたことも、地味な色合いの服はやめて、おしゃれな服を着るようになったことも、全部全部、その努力の先に見て欲しい人が、褒めて欲しい人がいるからだということは、同じ女として気がついていた。
そんな風に、恋をして可愛くなっていく柚花の姿を、眩しい気持ちで見つめていた。
「そう、だね……」
溢れそうになる、自分の中に渦巻く様々な気持ちを押しとどめて、和果子はようやくぽつりと呟いた。
そして、柚花から視線を外すように、星空を見上げる。



