疑う余地がないほど、証明はきっちりできた。
千隼は何度も「無理しなくていい」と言ってやめようとしてくれたけど、それでは私の気が済まなかった。
直接自分の肌で感じる千隼は「ぬくもり」なんて生易しいものではなくて・・・。
あの夜怖くて逃げた大きな感情の波と同じ、圧倒的質量と熱で私を丸ごと飲み込んだ。
恋も愛も愛しさも、それゆえの苦しさも痛みも悲しさも、全部が肌を通して伝わってくるから、もしかしたら心は肌の表面にあるんじゃないかと思った。
こんなに生々しく心と心を繋ぎ会わせるようなこと、誰とでもできることじゃない。
千隼としかできない。
そしてその幸福感を知ってしまったから、元には戻れない。
もうここ以外、千隼のところ以外にはいられない。
くたくたと力が抜けてしまった私の顔を、千隼は心配そうにのぞき込む。
ドキドキが収まらないまま微笑みで応えたのに、自分の方が痛そうな顔をしながらやさしく髪を梳いてくれる。
だから満たされこそすれ辛くなんて全然なかった。
「これで、私はちゃんと千隼のものになれたかな?」
少し汗ばんだ胸に頬を寄せながらそう言ったら、頭の上でふっと笑う声が聞こえた。
「俺の方が、もうずっと前から菜乃のものだよ」
そんな自覚はなかったので見上げた首を傾げる。
「ずっと一人で生きていくと思ってたのに、もう菜乃と出会う前には戻れない。だから俺の人生は、全部菜乃のものだ」
あの時通りかかったのが千隼以外の人だったら、その人と一緒に住むことはなかった。
提案されてもホテル暮らしを選んだと思う。
だって出会ってすぐに、私は千隼に心を許していたのだから。
「私、多分最初からずっと千隼のことが好きだったんだと思う。気付くのが遅かっただけで」
「最初?」
「そう、最初から。だって、千隼がつけてくれた内鍵、一度も使ったことなかったんだもん」
私から少し離れて、千隼はバフッと枕に顔を押しつけた。
耳が赤くなっている。
「それ、あの時知らなくてよかった」
そんな態度が愛しくて、私はぎゅうっと千隼にしがみついた。
これも全部、私のもの!



