千隼の行為はちょうど昨日、随分昔に思えるけどほんの昨日の夜、大ちゃんが取った行動と一緒だった。
物の少ない部屋で異常とも言える大容量の書棚があったら誰だって見るだろうから、それ自体は驚くことではない。
だけど昨日はあんなに嫌だったのに、今は何も気にならない。
そのことに私自身とても驚いていた。
千隼の目はしっかり背表紙を追っているのに、まるで興味がなさそうだった。
単純に目の前にある物を見ているだけ。
そこから何かを感じ取ったり考えたりはしていないのだろう。
だから私の趣味趣向が直接反映された書棚を丸ごと見られても、恥ずかしくない。
千隼は私が何を読もうが何を好きだろうが、それを基準に判断したりしないと思う。
バカにしたり、蔑んだり、変に持ち上げたりしない。
きっと「へー、本読むんだな」くらいにしか受け取っていない。
千隼は私を取り巻くものでなく、私自身を見て感じてくれる。
だから何を見られても平気なんだ。
私が私でさえあれば、きっと千隼は何が付随していても気にしないでいてくれるから。



