夜7時ピッタリにインターホンが鳴った。
もしかしたら、3分くらい前にはドアの前に着いていて、時計を見ながら時間を待っていたんじゃないかと思う。
「はい」
返事をしてそのままドアを開けると、千隼は不機嫌そうに眉をひそめた。
「確認しないでドア開けるなんて不用心過ぎる」
「うん、ごめん。でも鍵開けっ放しで生活してた千隼には言われたくないな」
「女の一人暮らしで用心するのは当然だよ」
「まあ、とりあえずどうぞ」
先に立って中に入ると後ろでガチャンガチャンと鍵とドアガードをする音が聞こえた。
防犯を訴える千隼の行動としては当然なのだけど、妙に緊張感が高まった。
「カレー?」
どこの家庭でもカレーを作れば匂いですぐにわかる。
「うん。作ったけど食べる?食べてきたなら無理しなくていいよ」
「食べる」
『今日、行く』と言われただけで時間も夕食の話も何もされていない。
時間は常識的な範囲だと思っていたけど、夕食に関しては少し困った。
だからどうとでもなるようにカレーを作っておいたのだ。
千隼をリビングに残してキッチンに立つ。
出来上がってからさほど時間が経っていなかったので、少し火を入れただけですぐにプツプツとあたたまり、簡単に用意が済んだ。
冷蔵庫から出したレタスとトマト、温めたコンソメスープと一緒にトレイに乗せて運ぶと、千隼は書棚の前に立って本の背表紙を見ていた。



