先輩が眠ったまま


二週間がたった。


今は冬休み。


今日もあたしは先輩がいる病院に来ている。


あの日から毎日病院に通っている。


「先輩……年越しちゃったよ…」


毎日先輩に話しかける。


手を握りながら。


「あのね、昨日おもち食べすぎちゃって。
太っちゃったかなあ」


馬鹿って言って笑ってよ。


「あ、そうだ、またプラネタリウム行きたいなあ」

そうだなって言ってよ。


「先輩…………」


ガラッ…


「あ、麗生ちゃん」


「あ、こんにちは…」


「また来てくれたのね。遼もきっと
喜んでるわ」


「毎日、来ます。
先輩が目を覚ますまで」

少し悲しそうに笑う先輩のお母さん。



「遼はね。あまり笑わない子でね」


確かに最初はそんなに笑わなかった。

「でもね去年の春あたりからかしら。
前より笑うようになったの」


あたし達がであった…はる…。


「家でも麗生って女の子の話を良くしていて。ああその子が遼の笑顔を増やしてくれたんだなあって。感謝してるの」


遼っ…先輩…。


「遼は麗生ちゃんのことがすごく好きなんだって伝わってきて。そんな麗生ちゃんを守れて幸せね遼」

ふふっと笑って遼先輩を見るお母さん。


「麗生ちゃん。
これからも遼をよろしくね」


「お母さん………。
あたし遼先輩とであえてすごく幸せです…」


本当に、本当に幸せ………。