縁は赤くなった顔を隠すように俯くと、スカートをぎゅっと握り締めた。


どんな仕草も目を離すことが出来なくて、鼓動を忙しなく逸らせていく。


ここまで心を揺さぶられる存在は、後にも先にも縁以外現れないと断言してしまえる程だ。


「日に日に縁への好きが大きくなっているくらいだ」

「これ以上、言わないで、ください……ドキドキし過ぎて死にます……」


縁は限界を訴えかけるように、手のひらで赤い顔を覆い隠した。


(なんで縁は俺を喜ばせる反応を毎回するのかな。しかも、計算じゃない辺りがタチが悪い)


依人は壊れ物を扱うように縁の髪を優しく撫でながら、内緒話をするように囁いた。


「俺がどれだけ縁を好きか言いたかったけど、また今度にするよ」

「……っ」


(まあ、言葉だけで表現するのは無理だけど。それは縁次第ということで)


依人は心の中で本音を付け足すと、セルフサービスのお冷を入れに席を立った。