佐藤縁は、ここ数日最後の授業に差し掛かるとそわそわしてしまうようになった。
顔は教壇に立つ数学教師に向けているが、心は既に放課後へ向かっている。
(あと少し……)
時折、壁に掛かった時計を気にしながら今か今かと待ちわびる。
そして、
「今日はここまで。次小テストするから復習しとけよ」
チャイムが鳴ると同時に、教師は授業の終わりを告げた。
縁の胸の高鳴りが一気に昂った。
ホームルームを終えて、友人にバイバイと挨拶をして教室を出ていく。
「縁」
その時、廊下の壁際で佇む一人の男子生徒が縁に微笑みかけた。
その微笑を見るだけで縁の心臓は爆発しそうになる。
彼はとても端整な容姿をしていた。
同年代男子の平均より高い背丈に、さらさらとした爽やかなショートの黒髪がよく似合っている。
周囲にいる女子生徒達のほぼ全員は、うっとりと頬を染めて彼を見つめていた。
「こんにちはっ、桜宮先輩」
縁は震えそうな手をぎゅっと握り締めながら、ゆっくりと彼の元へ近寄った。
彼、桜宮依人は、一年の縁より二学年上の先輩であり、縁の恋人であった。
顔は教壇に立つ数学教師に向けているが、心は既に放課後へ向かっている。
(あと少し……)
時折、壁に掛かった時計を気にしながら今か今かと待ちわびる。
そして、
「今日はここまで。次小テストするから復習しとけよ」
チャイムが鳴ると同時に、教師は授業の終わりを告げた。
縁の胸の高鳴りが一気に昂った。
ホームルームを終えて、友人にバイバイと挨拶をして教室を出ていく。
「縁」
その時、廊下の壁際で佇む一人の男子生徒が縁に微笑みかけた。
その微笑を見るだけで縁の心臓は爆発しそうになる。
彼はとても端整な容姿をしていた。
同年代男子の平均より高い背丈に、さらさらとした爽やかなショートの黒髪がよく似合っている。
周囲にいる女子生徒達のほぼ全員は、うっとりと頬を染めて彼を見つめていた。
「こんにちはっ、桜宮先輩」
縁は震えそうな手をぎゅっと握り締めながら、ゆっくりと彼の元へ近寄った。
彼、桜宮依人は、一年の縁より二学年上の先輩であり、縁の恋人であった。