「密会場所、同じだった?」


「密会……?あぁ、あそこじゃないよ」



竜くんの言葉にホッとしてる自分がいる。



「そっか」


「何を気にしてんだよ。俺のいまの彼女は茜だろ?密会場所が同じだったら密会やめるのか?」



竜くんの言葉がグサッと胸にささった感覚がする。



「竜くんには、分からないよ」


「はぁ?」



これ、完全にヤキモチだもん。
こんなヤキモチ、竜くんは大人だから妬かない。



「竜くんは大人だから……」


「大人だから、何?」


「こんなふうに知らない相手にヤキモチなんて妬かない」



だって、あたしがいま妬いてる相手って。
だれかもわからないし、いま社内にいるのかだってわかんない。



「大人ってなんだよ。同じ社会人だろうが」



はぁっとため息をつく。



「……そうだけど」



わかってる。
こんなこと気にしてもどうしょうもないってことぐらい。

でも、竜くんのことが好きだから。
竜くんが初めて社内恋愛をする相手がよかったと思ってしまうんだ。