「・・・はい?・」
父親の発言に朝食を食べていた手が止まったのは花凛だけでなく、風太と雷太もだった。
大切な日とは花凛の十六才の誕生日なんだろうけど、別れの日とは一体どういう事なんだろうか?
「もうパパったら、突然そんな事を言ったら花凛も風太も雷太が訳が分からないって顔をしているわ。きちんと説明をしないと」
キッチンから出てきた母親は息子娘達と同じテーブルに付き、微笑みながら花凛にラッピングされている袋を渡した
「花凛、お誕生日おめでとう。これはパパとママからの誕生日プレゼントよ」
「あ、ありがとう!お母さんお父さん」
花凛は戸惑いを表に見せることなく心にしまいながらプレゼントを受け取った。
「これって…」
プレゼントのラッピングを解いた花凛は吃驚した。
父親と母親からのプレゼントは以前から花凛自身が欲しがっていたブランドのシルバーの腕時計だった。
高校生である花凛のお小遣いでは買えないと諦めていた。欲しいと口に出す事さえしなかったにも関わらず両親がそれに気づいていた事に驚いた。
「欲しかったんでしょう、花凛」
「そうだけど…いいの?これ、高かったでしょ?」
兄である風太と雷太の誕生日が先月の末にあったけれど両親が送る二人の誕生日プレゼントは花凛のような豪華な物ではなかった。
「本当だぁ。俺らと全く違う。何で花凛はいいの?」
「僕らより明らかに贔屓してるよ父さんに母さん。まぁ花凛が喜ぶなら構わないけどさ。雷太もそうでしょ?」
「そりゃあ、あったりまえじゃん!花凛は可愛い妹なんだから!!」
これだからシスコンは単純だ…と父親がボヤいた事に対して花凛は聞かなかった事にした。
恐らく風太と雷太がどのような反応をするのか親としてわかっていたのだろう。
「あら、そのブレスレットは風太と雷太から貰ったのかしら」
「うん。色合いも腕時計に合うよ」
花凛は、この十六年間
誕生日は迎えてきたしプレゼントも貰ってきたけど、ここまで嬉しいのは初めてかもしれないと思った。
だからこその疑問…。
「お父さん、お母さん。どうしてここまでしてくれるの??」
“別れの日”というのが関係しているのだろうか?
