妖怪暮らしは憂鬱

「…ふむ、紫苑に紹介してなかったな。」






彼女は耳の生えた彼を指し












“そやつは狠( ぎん ) 、狐妖怪であるが半妖じゃ”










そう言った。










半妖…










「半分人間で半分妖怪。奇妙なモノになってしまったんじゃよ」










そう言って彼女は裾を口元に当てクスクスと笑った










彼は形相を酷く恐ろしくしているが一言も喋らなかった











「妾は楓( かえで )此処の旅館の亭主や」










楓さんは元、妖怪の伝統ある家柄だったらしいが当主に次ぐ事を断り血の繋がらないお兄さんに受け渡したとか








…妖怪の世界でも人間のような事があるんだなと思った









「しかし…紫苑は何故此処に迷い込んだんだ?」