「ほんと犬系でかわいい!」



赤坂が俺の頭をなでる。



「本物の犬みたいじゃんそれ」


「ふふ。かわいいから。ね?里菜も思うでしょ?」



赤坂が隣にいる女の子に聞く。



「嫌い」


「へ?」



その子の言葉に俺らの周りが凍りついたのがわかる。



「き、嫌いってなんだろう?」



こんなときも自分を変えることができないので、彼女にも好かれようと話しかける。



「夏井くんなんて嫌い」


「…えっ」



〝嫌い〟
そう言われたのは久しぶりで。



「里菜…」



俺を〝犬系男子〟にしたてあげた張本人。
幼稚園の頃のトラウマ。
初恋の子に言われた〝嫌い〟を思い出す。



「里菜と夏井くんって知り合いなの?」


「ねぇ、なんで俺のこと嫌いなの?」



赤坂の言葉も無視して里菜の腕を掴む。



「やだ!」



里菜が俺の手を払い除ける。