確かにさっき熱いところに触った指がヒリヒリする。 「す、すみません」 「別に謝ることはない。ただ、湯を沸かしたりするときは俺や井上さんに声をかけると良い。慣れないことをしてはまた火傷するかもしれないからな」 斎藤さんは私の手に軟膏を置いた。 もしかして、斎藤さんって無口で怖そうな人に見えたけど、本当は違うんだ。 「ありがとうございます。優しいんですね、斎藤さん」 「い、いや、俺はただ……」 斎藤さんは顔を真っ赤にすると、私に背を向けてすたすたと歩いて行ってしまった。