「彼女……いや、彼が近藤さんが言っていた子か。初めまして、私は井上源三郎。君は向井日葵さんかな?」 「はい。よろしくお願いします」 頭を下げると、井上さんは「此方こそ」と穏やかに笑っていた。 井上さん、何かおじいちゃんみたい……。 現代にいるおじいちゃんと井上さんの姿が重なって、胸が苦しくなった。 「それで何で勝手場に?」 「源さん。悪いが、こいつに茶の入れ方を教えてやってくれ」 「ああ、分かった」 快く引き受けてくれた井上さんに土方さんは「頼んだ」と一言残して、自室に戻っていった。