お願いだから破かないでよ……、諭吉を。 彼らには諭吉の価値が分からないだろうけど、高校生の……現代人からすれば大金だ。 もし、破こうものなら止めなくては。 でも、その心配を余所に、諭吉は無事手元に戻ってきた。 「後は?」 すると、諭吉を持っていった男の人がキラキラした目で私を見てくる。 え……、何か子犬の耳と尻尾が見えるんだけど……。 幻覚? 「そう急かしてやるな、平助」 そんな彼を左之?って人が苦笑いを浮かべながら嗜める。