「帰ろう」 涙が溢れてくる。 私は帰って来てと手を握ってくれる沖田さんの手を握り返した。 温かくて大きな彼の手は私の手をすっぽり包んでくれる。 「……はいっ!」 沖田さんに立ち上がらせてもらうと、私は彼の後をついていく。 屯所に着くのにそんなにかからない。 元々行くあてがないから屯所の周りをうろうろしてたから……。 「うぉー、向井ちゃんー!今、兄ちゃんが──」 「へ、平助!待てって!」 屯所に塀の向こうから平助君と永倉さんの声がする。