頬に温かいものが伝う。 「……好きです、土方さん」 寝ているときじゃなくて、ちゃんと面を向かって言いたかった。 でも、それはもう叶わない。 私は此処を出ていく。 もうこの人達に甘えちゃいけない、優しいからってすがっちゃいけない。 私は……私の存在は彼らを壊してしまう。 「四半刻経っても起こさなかったら土方さん、怒るだろうな……」 涙を拭うと、私はこの時代に持ってきた巾着を持って外に出た。 さよなら、優しい人達──。