「では、戻る」 斎藤さんは巡察に行こうとした足を止め、何か思い出したようにこっちを見た。 「原田。向井を元気付けようとしているのは分かっているが、その物言いはお前らしくないぞ」 そう言って彼は去っていった。 「らしくない?」 疑問が浮かんで原田さんを見上げると、彼は手で顔を覆っていた。 じーと見ていると、指の隙間から見えた原田さんの目と目が合った。 「あー見るな見るな!さっさと中に行くぞ」 原田さんは照れたように視線をそらすと、ズカズカと甘味処の中に入っていく。