「お前、俺を知らない奴って言うくらい怒ってんのかよ?」 背中には木板の硬い感触、顔の脇には大きな筋張った手。 目の前には見惚れてしまうほど端正な顔。 所謂、壁ドンというものを生まれて初めてされているのだけど、状況が状況だけに喜べない。 「怒ってるって──」 「ひまり」 「はい?」 「好きだ」 熱っぽい眼差しと共に唇に柔らかい感触がする。