「うるせぇ。てめぇも何故あの場にいながらに同志を助けなかった?だから、逃げの小五郎なんて言われんだよ」 高杉の嫌味に、桂は動じない。 気性の荒い高杉に、穏やかな性格の桂。 どちらも今後の日本に大きく関わってくる人物だ。 ……存分に利用してあげる。 私の親友を絶望させる駒として──。 「そういえば……」 ふと、桂が猪口を乗せた手拭いを片手に何か思い出したように顔を上げた。