すると、土方さんは私の手を握った。 「はぐれねぇように繋いどけ」 「え。でも、手を繋ぐってひまりさんはいい気分ではないと思いますけど……」 男装していると言えど、私は女だ。 恋人であるひまりさんが知ったらいい気分では無いだろう。 「……そうだな。なら、俺の服に掴まってろ」 握られた手は離れ、代わりに服を握らされる。 一瞬だけ握られた手の温もりが名残惜しい。 でも、彼女の名前を出したときの彼の顔が優しくて、それほど彼女が大切なのだと思い知らされた。