目の前で人が死んだ。 初めて見る光景なのに不思議と何にも感じない。 ただ、人はこんなにも呆気なく死んでしまうのだと思った。 呆然と命が消えた浪士を見ていると、窓の方から音がした。 音がした方を見れば、桂さんが窓から下へ飛び降りようとしている所だった。 「此処は吉田の言うとおり逃げるとしましょう。では、またお会いしましょうね、もう一人のお姫様」 「待て、桂!」 沖田さんはふらつきながらも立ち上がったが、その時にはもう桂さんの姿はなかった。