男は私に近付くなり、腕を掴んで無理矢理立たせる。 「痛い!離して!」 「嫌よ嫌よも好きの──」 「てめぇ、俺の女に何してんだ?」 すると、男の声をドスのきいた低い声が遮った。 と同時に男の手がパッと離れる。 ヤバイな、また転ぶ……っ! そう思ったけど、私の体は誰かの腕に抱き留められる。 ふと、甘い香りが鼻腔を擽る。