俺は口元の血を袖で乱暴に拭うと、桂に斬りかかった。 でも、その刃は奴に届く前に浪士よって止められる。 「桂先生、お逃げください!この吉田めがこやつを引き留めますゆえ!」 浪士──吉田は桂にそう叫ぶと刀を力任せに押し返してくる。 いつもなら押し返されることはない。 でも、今は何故か押し返されてしまう。 「く……っ」 刀が完全に押し負け、体勢を崩す。 目の前に吉田の刀が見えた。 まずい、斬られる──。 そう思った。