「まったく優しすぎるんだよ、彼らは……」





呆れたような山南さんの声がする。




確かに優しい。




壬生狼と忌み嫌われる彼らだけど、本当は彼は狼と呼ばれるには優しすぎる。




「……話さないという君の判断が間違っていないといいね」





山南さんは横を通りすぎる時に冷たい声でそう言い、部屋から出ていった。




間違っていないはずだ。



間違っていないはずなのに、何でこんなにモヤモヤするの?




それに、何か嫌な予感がする。




「何もないと良いけど……」




私は不安を抱えながら広間へと向かった。



でも、この数刻後。




この嫌な予感は的中する。