「私だよ、向井日葵!」 「存じ上げませんね。人違いではありませんか?」 「そんな訳──」 「申し訳ありません、急ぎますので……」 希月はそそくさと去っていく。 人違い?本当に? 去っていく希月の背中を見ていると、原田さんが駆け寄ってきた。 「あの嬢ちゃん、知り合いか?」 「一緒にこの時代に来た友人です」 私がそう答えれば、原田さんは私の手を掴んで走り出そうとする。