「いてぇじゃねぇか、女!──と思ったら、島原の芸妓じゃねぇか」 ぶつかったのは柄の悪い男で、お酒を飲んだのか顔が赤かった。 島原?芸妓? 確かに私は芸妓の着物を着ている。 でも、島原って確か江戸時代にあった京都の花街だよね? っていうことは私は江戸時代にいるの……? 「夢……かな……?」 私は現実とは思えない現実に混乱し、目の前の男の頬を思い切り右に引っ張った。