確かに屯所にいて、山南さんにまた何か言われるのは嫌だ。 だったら、美味しいご飯が食べられるこっちに来た方がましだ。 「お待っとさんどす」 ふと、華やかな襖が静かに開いた。 そこには艶やかな着物を纏う芸妓さんがいた。 そして、私はその芸妓さんの顔に言葉を失う。 何故なら、その芸妓さんは私と瓜二つの容姿をしていたから──。 「お、来たな!色男がお待ちかねだぜ」 永倉さんが茶化すような視線を向けた先にはあの人がいた。