「不躾ながら斎藤さんが貴女に軟膏を渡すところを覗かせて頂きました」 え、あの時?全然分からなかった……。 「なら、何であの場から私を?」 「……貴女が未来から来たと副長に聞いたとき、総長の顔つきが変わったんです」 「山南さんの?」 「はい。恐らく、あの方は何か目論んでいる」 山崎さんは監察方にいるだけあって、人をよく見ているようだ。 確かに山南さんと目が合ったとき、嫌な感じがした。 でも、私が知っていて、山南さんが得になるようなことなんて──。