名前を呼んで敬語を止めると、彼は私の頭を掻き回す手を止めた。 「よく出来ました」 そう言って、彼は私の口の中に金平糖を放り込む。 ……誰だ、この人を子犬なんて言ったの?……私か。 「はぁ……」 口の中の金平糖を転がしながら、すっかり手が止まってしまっていた掃除を再開しようと箒を握るとため息が出てきた。 「ため息を吐くくらいなら嫌って言えば良いだろ」 すると、横から冷たい声がする。 そっちを見なくたって分かる。 この声は……。