朝の職員会議の後、各教室ではSTと呼ばれるクラスタイムがある。
それが終われば授業開始だ。
三年生は全部で七クラスあり、そのうちの四クラスを僕が担当する。
この学校の生徒はほとんどが進学希望なので、自分がしっかりとサポートできなければいけない。
自分の中で緊張感が増していく。

「よし、頑張ろう」

STの終わりを告げるチャイムが鳴り、いよいよかと席を立つ。
職員室を出た廊下にある窓からは、教室の様子を確認することができる。
僕は一限目に授業をする三年二組の様子を覗う。
皆、授業の準備やら何やらで忙しそうだ。
始業前のこの感じは前の学校と対して変わらず、若干緊張が解れる。
非常勤の頃もある程度こなせていたわけだから大丈夫だと、自分に言い聞かせながら廊下を歩く。
教室に入るのとほぼ同時に、一限目の開始を告げるチャイムがこだました。

「それでは始めます!」

緊張を振り払うように大きな声で呼びかけると、一人の生徒が号令をかける。

「起立」

何となく聞き覚えのある声だな。
僕は声が聞こえた方に目を向ける。

「あっ」