「わかっているけど…んなことを言ってたら、いつまでたっても、続くだろ?何なら、会わせてみるのが一番だし」


「え、沙耶と兄さんを会わせる気?」


信じられないという顔で、水樹を見る氷月。


「ああ」


当然というようにそう言った水樹は、ポケットからスマホを取り出すと、画面をタップする。


「もしもし?兄さん?」


―…相馬の過去と、沙耶の過去。


そして、前世からの因縁。


その全てが絡み合い、ほどけたとき、彼女たちは笑っているのだろうか?


お互いだけを愛し抜く。


簡単なようで、難しいそれは、全てを絡み付けたまま、真実のもとへと、連れていく。



『貴方のことは愛さない』


凛とした一人の女の言葉は、閉じた男の心に響く。


『女をナメんな…っ!!』


果たして、彼等の再会は正解だったのか。


相馬は幸せを見つけるのか。


そんな未来は、わからない。


けれど、沙耶なら。


相馬を救える。


そんな確信が心のどこかにあったのを、薫は認めていた。


相馬を変えることができるのは、沙耶だけ。


昔から、変わらない草志が、相馬が追い求めるあの女だけなのだ。