「…なるほど?」


超低音ボイスを出したのは、勿論、沙耶の言う新しい先生こと桐生飛鷹。


「…で?」


沙耶からの情報を聞きながら、殺気全開の飛鷹は、笑っているのに、笑っていない。


「…まぁ、蹴っておきましたし、大丈夫ですよ。場合によっちゃ、潰しますんで」


にっこり笑った沙耶は、飛鷹にそう言うと、今まで黙っていた面子も口を開いた。


「…夏翠、怪我は?」


そう尋ねたのは、蒼生。


「無いわ。澪と沙耶さんが守ってくれたから」


「そっか…」


「でも、一応、病院に…」


「飛鷹、大袈裟にしないで。私はなにもしていないから、怪我なんてしてないわ」


飛鷹は、とても夏翠を大事にしている。


仕事柄、彼は夏翠の護衛なので、ってか、そのためにこの学校の教師になったので、仕方がないのだが…


「私は無傷よ」


理由は、それだけではない。


「心配をかけて、ごめんなさい」


二人が想い合う、恋人同士だからだ。
だからこそ、互いを思いやる。