「相変わらず、澪は容赦ないわね…ま、こんな下衆には、丁度良いかな。骨を折らない程度に頑張んなよ。骨が折れる音って、心地いいものじゃないからさ」
こんな状況、慣れきってますって感じの女の子は、沙耶と同じようにニッコリと微笑んで。
「ねぇ、退いて?」
親指をたて、そのまま、自分の背後を指した。
彼女の背負う雰囲気には、逆らえない何かがあって。
「大丈夫?」
見たことのない顔、沙耶を無視せず、助けようとする彼女は、どうやら、転入生らしい。
「え、ええ。ありがとう」
「フフ、それはこっちの台詞。駆けつけてくれて、ありがとうね?」
「いや、悲鳴が聞こえたからさ…と、どこに行こうとしているのかな?」
こそこそとする男たちの出入り口を塞ぎ、いつものように、急所を蹴った。
「いい加減にしないと、ここ、使いもんにならないようにするよ?」
何度もそう脅しているが、彼らは聞かない。
「ハッ、めんどくせぇ」
鼻で笑った男の一人。
何も知らない、男の子。
「ふーん、じゃあ、消してあげよっか?私に無理矢理、手を出したのがわかれば、あなたたちは消されるけど」
こういう行為が心底嫌いな沙耶の両親は、こういうことをなくすために行動している。
沙耶は何が、学生の間に起こっているのかとかを調べるのを仕事の一貫として、学校に通っている。
別に両親が望んでいることではないが、少しでも役に立てば良いと思う、単純な子供心だ。


