「げっ…!」

顔を青ざめた、男たち。

「チッ、」

自然と舌打ちが出、女の子の上に跨がっていた男を蹴り飛ばす。


「不純異性交遊してんじゃねーよ」


言葉遣いは悪いが、泣く女を組み敷く男は大嫌いだ。

嘘、噂、レイプ…本当、屑みたいな人間のこんな行動が母さんをあそこまで追いやった。

こんなことは、沙耶を含めた家族全員が嫌うこと。

そして、キレると少し…すこーしだけ、口が悪くなってしまうのは、お兄ちゃんたちのせい。…うん、間違いなく。


「あ?」

「ナニ言ってんだ。君もこうなりたいのー?」


ギャハハッ、と下品な笑い声をあげる一部の男たちの横で、青褪める“分かっている”男たち。


「フフ、」


ここまで来れば予想できると思うが、下品な笑い声をあげる、一部の男たちの一人が沙耶の腕をつかむ。


机の上にあと向けに寝せられ、沙耶は微笑んだ。


「で、何をどうするって?」

それは、それは、もう―…冷たく、美しく。

その時。


ドカッ!

何かに蹴られて、転がり落ちる人の音が聞こえた。

見れば…


「下衆が」


組み敷かれていた女の子達のうち一人がもう一人の女の子を守るような形で、男に蹴りをいれたのだ。

(…強すぎない?)

ちょっと、蹴っただけでここまで吹っ飛ぶだろうか?

沙耶がそんなことを思ったときである。