「……沙耶、辛いなら、忘れろ」 そう言えば、首を振る。 ……横に、沙耶は振るんだ。 「私が、忘れちゃったら……草蘭、消えちゃう……」 愛娘の名前を、呼んで。 「お前は、お前!夕蘭は、夕蘭だ!」 彼女は、震える。 「…………って……だって……!!」 魂が同じでも、人柄が同じなものか。 それと、一緒でどうでも良いんだ。 「……今を、大切に生きられないのなら、そんな記憶、捨てちまえ。な?」 大切なのは、今。 この瞬間。 過去とか、前世とかは、必要ないんだ。 今、ここで息することには。