気がつけば、病院で。
『気がついたか?……雪坊』
もと組員の医者……篠原が、ほっとしたように笑ってた。
『……美桜は?』
尋ねれば、篠原は首を横に振る。
『瞬間移動の力を使い、ここまで、雪坊を連れてきた。その後、消息不明だ。京との間に授かった娘は、後輩の瀬戸瞬が父親として、育ててる。雅の息子である薫は、施設だ』
淡々と、聞かされる話。
そうか、千夏たちも同じ手で。
『……屋敷は?』
『……大爆発を起こし、焼失いたしました』
たいして、迷惑にならない位置に建つ、取り壊し前の建物が続いて、爆発を繰り返す。
これはもう、ひとつの犯罪。
『……速水』
『はい、頭』
『鳴海、秀征だ』
『は……?』
目を見開く、速水。
『奴を洗え。永久は、俺の補佐をしろ』
……すぐに、リハビリに取りかかった。
家の情報屋は、優秀だ。
楪家は、それだけの力を持っているから。
なのに。
『何の、情報もないだと……っ!?』
吃驚するほどに、証拠はなくて。
本当に、全く。
『すべて、消滅しております』
ここまでしてまで、彼は何の恨みがある?
戸惑う彼は、知っている、臆病な秀征。
なら、嘲笑ったあの男は?
月姫とは?
色々な謎は残ったまま、月日は流れる。
再び、多くの人間が死ぬ。
薫と桜が巻き込まれる。
みんなを巻き込んで、世は荒れる。


