捨てた娘にそう言われ、男は、秀征は首をかしげた。
『……何の、話だ?』
冗談でも、誤魔化しでもない。
本気で、記憶にないという感じ。
『いい加減にして……っ!!』
何かもを奪われ続けてきた美桜は、手慣れた感じで銃を扱う。
その姿は、京に重なって。
『安心して。先生……京に教えてもらったから、外れないわ。一瞬で、逝かせてあげる』
父親に向ける、絶対的な殺意。
それに狼狽える、秀征。
『ま、待て……っ!本気で覚えがないんだ!何の話だ?お前も、雪さんも、なんで怒っている……っ?』
何故、こんなことを言うのか。
実際に千夏を手にかけた奴等を、すでに消していた俺は、秀征の言葉に耳を傾ける余裕が少しあった。
目の前で、震える手で、銃を持つ美桜よりも。


