【完】☆真実の“愛”―見つけた、愛―1



捨てた娘にそう言われ、男は、秀征は首をかしげた。


『……何の、話だ?』


冗談でも、誤魔化しでもない。


本気で、記憶にないという感じ。


『いい加減にして……っ!!』


何かもを奪われ続けてきた美桜は、手慣れた感じで銃を扱う。


その姿は、京に重なって。


『安心して。先生……京に教えてもらったから、外れないわ。一瞬で、逝かせてあげる』


父親に向ける、絶対的な殺意。


それに狼狽える、秀征。


『ま、待て……っ!本気で覚えがないんだ!何の話だ?お前も、雪さんも、なんで怒っている……っ?』


何故、こんなことを言うのか。


実際に千夏を手にかけた奴等を、すでに消していた俺は、秀征の言葉に耳を傾ける余裕が少しあった。


目の前で、震える手で、銃を持つ美桜よりも。