【完】☆真実の“愛”―見つけた、愛―1

■雪side□




今でも、思い出す。


嘲笑う、あの男の声。


『え……僕が、千夏さんを?何故ですか?』


千夏の葬式で、泣いていた男。


本を片手に、驚く息子同然の彼。


『お前がっ、千夏を……!!』


『えっ、まっ、待ってください!何の話か……』


仇だと思い、首に手をかけようとしたとき。


『――やっと、見付けたわ。貴方だけは、赦さないっ!私から……どれだけ奪ったら、気がすむの!父さん!』


銃を片手に飛び込んできた、少女。


美貌には、疲れが見えて。


『美桜……』


男は、呆然と呟く。


けれど、美桜はそんなことも気にせずに叫んだ。


『なんで、先生をっ、先輩を、殺したの!』


黒髪が靡く。


『えっ……』


男は、驚く。


『とぼけないで!貴方が殺したの!!美香や、母さんだけじゃ飽きたらず……京も、雅さんも、咲姫先輩のことも、あんなに私を娘だと言って、可愛がってくれたお義母さんのことも……っ!!』


泣きじゃくる、齢、17の娘。


鳴海美桜。……否、焔棠美桜。


俺の息子が、京が、深く愛した女だった。