【完】☆真実の“愛”―見つけた、愛―1




「夕蘭……」


叫ぶのは、貴女?


それとも、私?


「愛してる、」


告げられる、愛の言葉。


「護るから、今は眠れ」


眠れなくて、ずっと、ずっと、眠れなくて。


相馬が側にいるときだけは、夢を見なかった。


「抱いててやるから……もう、眠れ」


記憶が、意識が、遠ざかってく。


心もとない、手が宙を舞う。


最近は、相馬のそばで寝てばかりだ。


彼の手は、優しくて、暖かくて……


「沙耶、お前のことも、守るから」


彼に、背負わせてはいけない。


夕蘭はともかく、“黒橋沙耶”の復讐を。


分かっているけど、今だけは。


(相馬……)


孤独な彼が、愛しい。


(見たくなかった)


貴方を愛した記憶なんて。


さすれば、気づくことはなかった。


(貴方が好き……)


瞼が、落ちていく。