【完】☆真実の“愛”―見つけた、愛―1



「ごめん、なさい……」


口元から、零れてく。


ふっと、相馬が何かに重なった。


私の首に触れた、気持ちが悪い手の持ち主。


「……ひっ!」


怖い。怖い。怖い。怖い。


……これが、貴方が隠しておきたかった、記憶ですか?


ぼやける脳内に、映り込む男。


(やめて……私に、触れないで……)


「……鳴海、秀征……」


そんな、名前、私は知らない。


なのに、口から知っているように、出てくる。


「鳴海……っ、まさか、」


相馬の顔色が、変わる。


視界を隠される。


「忘れろ、沙耶。思い出すな、お前は……っ」


涙が、流れ、落ちていく。


「……眠れ。眠って、忘れろ、」


(……嫌)


眠りたくない。


眠ったら、また、見てしまう。


「やぁ、っ……」


相馬の服を掴んで、首を振る。


眠りたくない。眠りたくない。


「……っ、お前は……」


苦しまないで。


私のことで。


笑っていて、貴方の笑顔が好きだから。


「草志、……っ!」


私は、何をしたかったのだろう。


消えたくて、消えたくて、死を望んで。


目を見開く彼に、何がしたかったのだろう。


完璧に思い出せれば、貴方は笑ってくれますか?


忘れろと言う、記憶は、貴方を救えますか?