【完】☆真実の“愛”―見つけた、愛―1



「沙耶!」



私の名前を呼ばないで。


私は貴方に縋ってしまう。


私の前に現れないで。


私は貴方を傷つける。


「何があったんだ!?薫、姉さん!」


響く、相馬の声。


私は首を振った。


彼の腕は、安心してしまう。


思い出してしまう。


『愛してる、夕蘭』


少しの間でも、貴方に愛された記憶を。


何度、あっただろう。


目覚める度に、濡れた枕。


何かを忘れたような、喪失感。