『……この女狐!!自分が殺す相手を……最低だ!』
そうだよ。
私は、最低で、醜くて、欲しくもない愛を独り占めして、人を踏み台にする人間だ。
でも、そうしなければ、私は死ぬ。
死なないために、手を汚す。
私が招いた悲劇。
『やめろぉぉー!!』
咆哮が響く。
悲しみの、咆哮が。
ちゃんと、見届けるから。
『ごめんなさい、ごめんなさい、私のせいで、ごめんなさい――……』
苦しい。
私の願いは、こんなものじゃなかったはず。
それなのに、どうして、こんなことになった?
『もう、やめてくださいませっ!わたくしは、望んでおりませぬ!草蘭を、守り抜きますから……子を、無事に生みますから……ですから、もう、やめてくださいませ……っ、!!』
私が、殺した。
大好きだった、友達も。
その子供も、夫も、家族も。
全部、全部、全部、全部。
自分が生きるためだけに、殺したんだ。


