【完】☆真実の“愛”―見つけた、愛―1



「……お前、記憶あるのか」


薫の言葉。


私はゆるりと、首を振る。


「……あるんだろう。だから、そんなことを……」


「……無いわよ……だって、ちょっとしか、思い出せないもの……」


小さい頃から、夢を見た。


大好きな人に、愛される夢。


幸せで、幸せで、夢の中にずっといたいって思うほど。


「自分の最期なんて……」


……あれが、最期?


分からない。知らない。


相馬が知られたくないということを、私は知らない。


相馬が何を知られたくないのか、分からない。


何かを、隠してる。


相馬は……草志は。


朝陽を失い、アイラが消えたあの日。


私は全く、夢を見なくなった。


いつしか、存在だって、忘れていた。


けれど。


「相馬がっ!私の前に現れなければ……っ、私は、忘れたままだった……っ!!」


愛される、記憶。


夢がつまった記憶。


私の妄想だと、思った。


けど、それは、真実の”愛”で。


「愛される記憶なんてっ、私には、相応しくない!!」


人の愛を奪ったくせに、


愛されたいと叫ぶ、傲慢な私。