「沙耶は生きられて、何歳ですか……?」
触れるだけでわかる、彼の力。
見える、人の生。
「……長く、ないんでしょう?光が、弱い」
愛する女に、再び、先立たれる。
相馬は沙耶ちゃんを愛していることは、認めていないらしい。
愛してはいけないと、過去の彼が彼を止める。
信じることを、恐怖して。
だから、彼は抑える。
「……本来なら、呼吸をするのも辛いんだよ。発作を起こしたときは。誰かに縋って、何枚のタオルがあっても足りないぐらい、水分を吐き出す。首元の、胸の痛みで、涙が止まらなくなる。そんな病気を、彼女は抱えている。僕は、20年以上、こうして医者をしているけど……沙耶ちゃんのような、病気を診たことがない。これも、前世の罰だと言うのか?少しずつ、何かが彼女を蝕んで、殺すと言うのか?沙耶ちゃんは、何も知らないのに」
理不尽だ。
どうして、彼女が死んでしまう?
何にも、悪いことはしていないのに。
あの過去だって……なにもしてないのに、彼女はどうして、自分を責めてしまうのだろう。


